今年はスギ花粉が多く飛散するため、症状がひどくなることが予想されます。
従来の内服薬や点鼻で症状が改善しない重症の花粉症に対して、新しい注射剤(抗IgE抗体製剤)という方法もあります。
ゾレア(オマリズマブ)という薬剤を2〜4週間ごとに皮下注射することで、花粉症の症状を改善させます。
花粉症のしくみ
1. スギ花粉が鼻腔などから体内に侵入します。
2. 花粉のタンパク質(抗原)と結合する性質を持つ抗体(IgE)がつくられます。
3. 抗原と抗体(IgE)が、アレルギー反応に関係するマスト細胞に結合します。
4. マスト細胞からアレルギー反応を引き起こす化学物質(ヒスタミン、ロイコトリエン、サイトカインなど)が放出されます。
5. 化学物質が鼻や目に作用して、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目のかゆみなどを引き起こします。
注射剤ゾレアが効くメカニズム
注射剤ゾレアは、IgE抗体がマスト細胞にくっつくのをブロックします。これにより、マスト細胞から化学物質が出なくなり、アレルギー反応がおこらなくなる、というものです。
注射剤ゾレアをはじめるには
- まずは、症状のひどいのスギ花粉症で、内服や点鼻薬の効果がない方が対象となります。
- 内服薬を1週間使用していただき、アレルギーの血液検査を行います。
- 血液検査でスギ花粉に対するIgE抗体の量がクラス3以上であることを確認し、体重と血液検査の結果で注射剤の量を決定します。
- 1週間以上経過してから再度来院していただき、ゾレアを皮下注射します。
- 2〜4週間ごとに皮下注射を繰り返します。
治療費、注意点
血液検査の結果(非特異的IgEの量)と体重により注射の量が変わります。1回の注射量が75mgから600mgと大きく異なるため、注射の費用も窓口での自己負担額は約4500円から70000円(3割負担の場合、1ヶ月分)と高額になります。返品のできない薬剤ですので予約した場合キャンセルをすることはできません。検査結果から計算した治療費をあらかじめお伝えしますので、ご理解いただいた上で予約をお取り下さい。
ワクチンなど他の注射剤よりも副作用が多いという報告があります。アナフィラキシーショックを起こす可能性がまれにありますので、治療後は30分以上院内で安静にしていただきます。異常がある場合は直ちに緊急対応を行います。
詳細についてはノバルティスファーマ社・ゾレアのホームページをご参照下さい。