抗生剤などの飲み薬でも中耳炎が治らないときに、鼓膜を切って中にたまった膿・液体をだします。通常は専用のメスを使うのですが、痛みや出血があり、安全な処置とは言いきれないところがあります。切った穴がすぐにふさいでしまい中耳炎が再発することもあります。当院では、鼓膜専用のOtoLAMというレーザー機器があり、鼓膜の処置を効果的に行っています。

 治療の流れ

・鼓膜を薬液のついた小さな綿などで麻酔したのち、カメラ付きハンドピースを耳の穴に入れ、いつもの診察のように鼓膜を確認します。
・適切な場所を決め、レーザーを照射し、一瞬で鼓膜に穴を開けます。痛みや出血はほとんどありません。
・たまった膿や液を吸い出します。このときは吸い出すときの違和感や大きな音を感じると思います。

 滲出性中耳炎に対して直径1mmの鼓膜開窓を行い、中耳にたまった液を吸い出しました。

 

 

 

 難治性の急性中耳炎で、直径1.2mmの鼓膜開窓を行い、中耳にたまった膿を吸い出しました。鼓膜は肥厚し、中耳粘膜は赤く隆起しており、炎症が強いことが推測できます。

 

 

カメラで鼓膜を確認しながらレーザーを使って鼓膜に小さな穴を開けることができます。刃物を用いた切開よりも痛みや出血が少なく安全に施行できます。また、穴は約1~2週間残るため、従来よりも処置の効果が長続きします。この処置に対する治療費は、レーザーで行っても刃物で切っても同じで、余計な負担はありません。

  換気のため長期間穴を保持する必要がある場合には、あけた穴にシリコン製のチューブを入れることもできます(ただし、おとなしくしてくれる患者さんに限ります)。