レーザー手術とは

アレルギーにより腫れて大きくなってしまった鼻の粘膜(下鼻甲介といいます)をレーザーで「焼く」ことで、粘膜を縮小させ、また鼻水を作っている分泌腺を減らします。

正式名称は「下甲介粘膜レーザー焼灼術」といいます。

 

 どういった人に手術を受けるメリットがあるのか

花粉症・アレルギー性鼻炎があり、飲み薬やさし薬を使ってもはなづまりが取れなかったり、鼻水が多くて困ることがあります。 薬を変更しても良くならない場合は手術をするとよくなることがあります。特に鼻づまりについては有効な手段といえます。効果の出る方は6~7割です。手術を受けると100%良くなるというわけではありません。

 

 手術までの流れ

いきなり手術をして出血が止まらないなどのトラブルが起こるといけませんので、まずは血液検査など、手術のための検査を行います。この際、何に対してアレルギー反応があるのかを調べることも可能です。手術は日帰りですが、当日は食事を制限したりします。日程の相談、当日の説明を行います。

 

 手術の実際

鼻の中を麻酔し、内視鏡で確認ながら下鼻甲介粘膜にレーザーを当て、粘膜を焼きます。
片側5~10分程度です。出血はほとんどありません。痛みは多少あります。

 CO2レーザーの機械です。

 

 手術直前の鼻の中です。

だんご状にはりだしているのが下鼻甲介です。

 手術直後の鼻の中です。

レーザーにより粘膜が焼かれています。

 

 手術後にはどういうことが起こるか

出血はほとんどありませんが、鼻をかむと鼻水に血液が混じることがあります。1時間程度で麻酔が切れ、鼻の中や歯に痛みが出ることがありますので、しばらくは痛み止めを飲んでいただきます。手術後2週間程度は粘膜がはれ、一時的に鼻づまりがひどくなります。1カ月程度は鼻の中にかさぶた、鼻クソのようなものがたまります。2か月を経過するころになると粘膜が縮小、安定します。

 

 合併症などは起こるか

現在のところ、特別な合併症や後遺症の報告はありません。手術後は上記のような現象がしばらく続きます。
手術後数年が経過すると、再び鼻の粘膜が腫れてきて症状が再発することがあります。
その時にはもう一度手術をやり直すことがあります。

 

 花粉症・アレルギーの薬から解放されるのか

手術を受けてから鼻の状態が安定するまでは薬を飲んだり点鼻薬を使う方が良いと考えます。手術の効果には個人差があるようです。症状が改善しても解消していない場合はやはり薬を使う方が良いと考えます。

 

 手術を受けない方がいい場合・手術ができない場合はあるか

心臓など全身に重い病気を持っている方、出血傾向のある方は危険ですので手術を受けることができません。ワーファリン、バイアスピリンなど止血困難となる薬を飲んでいる方は事前に一定期間薬を中止する必要があります。
レーザーが鼻の中に入りにくい場合は、この手術の効果が出にくいです。例えば、鼻中隔(鼻の真ん中にあり、左右を仕切っている板状の構造)が極端に曲がっていてレーザーの器械が入らない方がいます。この場合は、粘膜にレーザーの当たらない部分が生じるため効果が減ります。
レーザー手術が効果的かどうかは事前にアドバイスさせていただきます。

 

 手術はいつしたらよいか

手術後は2週間~1ヶ月は鼻づまり、鼻クソがでますので、花粉症の方はその時期に手術をするとかえって鼻の症状が苦しくなることが予想されます。このため、2月から4月は手術を行いません。

 

 手術の費用は

健康保険の適応があります。3割負担の場合、両側の手術で9200円程度です。
手術前の診察、血液検査が2400円程度です。
手術後の診察は数回、週に1回ほどお願いしますが、順調であれば各数百円程度となります。